■389.cwf4×2/910128/西淡町松帆
志知川




大変申し訳ない。
粒子は荒いわ、影が濃くて細部は見えないわ、原版にカビは生えてるわ
繊維がのってるわで、何もいいところがない。
私、近野とて断腸の思いではあるが、たまにはこんな写真も出てくる。
すぐにピンと来た古くからの写真マニアの方もいらっしゃるだろうが、
これはハーフサイズカメラでの撮影だ。
何度か書いたが、かの有名なオリンパスペン・シリーズのEE3型。
なにをかくそう、わたくし近野新が最初に買ったカメラで、しかも棚ずれ品。
つまり売れなくて残ってて、どうせこんなのこの先も売れ残るだろうから
五千円でいいよ、という次第で購入したもの。
知らない人のために簡単解説すると、ハーフサイズカメラとは
通常のフィルム一枚分の半分だけを使って撮影できるお得な仕組みの
カメラで、つまり通常のフィルムの倍の枚数を撮影できる。
しかし通常の半分しか写せないので、通常のプリントに焼くと
粒子が倍、荒くなる。
プリント代は半額になるが、画像は荒い。
ようするにケチなカメラだ。
世の人の所得が上がって、そのような倹約を必要としなくなってから久しくなった当時。
そう、近野新は若き日々からケチだったのである。





                                                   ■390.




この写真について、近野の言いたいことはそんなことではない。
この農民車の上にある、アルミの扉の位置が不思議なのだ。
仮にこの農民車を移動させて、扉を開けて中から出てくるとしよう。
出てきた人は、1.5メートルは下に落下する羽目になる。
危険このうえない造作は一体どういうことなのだろうか。
ブロックの雑な積み方といい、基礎のセパレーターを
そのままにしてある感覚といい、あきらかな素人建築である。
つまりかなり一般的でない建て方も反対する者がいない、個人的な建築なのだ。
扉をどこにつけようと、目的のためらなら躊躇しない。
施主の我が儘、止めるものなしである…。

以下は、あくまで近野の推測なのであるが、これはもはや農民車がここに停車
していることが常、という条件の建造物なのではないだろうか。
よく見ると、農民車のある地面も、コンクリートでややかさ上げされている。
つまり建てた当初は、このかさ上げ分だけ高さが足りなかったのだ。
地面を上げて荷台の具合、あるいは積み荷の高さは
まずまずとなったが、こんどはアオリの高さが不満になったようで、
跳ね上げ式のアオリに差し込み式のアオリをひとつ追加してある。
これは両側面だけで、後部はもとのアオリのままである。

はてさて、運転席後部の鳥居に丸くなった使いにくそうなロープ掛けが
ついたこの農民車、いったいどんな荷物を積んで、ここに来たのだろう。
いや、どんな荷物をこの扉から出したのだろう。

……もしや泥棒対策に、ここに農民車を置かないと入れないよう
この位置に扉を設置したのだろうか……。

はっはっは、いやいやまさか。
最近どうかしているぞ、近野。




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■cwf4×

   …………………bW