■fwm4×2
……………………………………………………………………………………………………No.6
[目次へ△]
[前頁へ]
[次頁へ▽]
 
農民車はたいてい玉葱小屋か、あるいは農家の納屋門など、
屋根のある場所に停められていることは以前にも述べた。
自家用車はかえって露天で駐車されることも多いが、椅子の上になにも覆いがない農民車は、
雨の降ったあとに乗ろうとするとなかなか大変だからだ。
あまり上等でないシートは、合成皮革の上張りがだいたい日光でひびわれていて、中のスポンジに
たっぷりと雨を染み込ませている。
それに座ろうもんなら、尻に伝わる冷たさと気持ち悪さで、
思わず舌打ちもしたくなろうというものだ。

農家はだいたい土地がたくさんあるので、大きな農機具でもほとんど屋根の下にしまうことができるが、
しかしそれでもあまり大切なものでないと、こうして路傍に腰をすえることになる。

写真304.の場合、いちおうエンジンと運転席には透明なビニールカバーがかぶせられている。
たぶん、農業資材の一種だろう。
どんな種類のカバーでも、端っこがきちんと固定されていないと必ず風にあおられる。
そして本来雨を凌ぐべき部分を覆えないようになってしまう。
このカバーも、ほんとうは鳥居さんからハンドルまで全体を覆っていたはずだ。




■305.



真横からの写真がないのが残念だが、
猫背のように不恰好な本車の特徴が見て取れるだろうか。
この違和感は、荷台後部のアオリ板がはずされているせいもあるが、
運転席の狭さに多く起因すると思う。
運搬車両の命題はいかに多くの荷物を運べるかにあり、荷台は極力広くとるべし。
したがってその他は犠牲にしてもやむなし、といった雰囲気で、
およそ運転者のすわり心地やハンドルのとり具合などは二の次以下になっている。
エンジンが真下にあるせいで座席が高くなり、
足をかなり伸ばして踏ん張らないとしっかり体を支えられず、
そうなるとクラッチやブレーキも操作しずらい。
簡素なベンチ式の座面は奥行きが三十センチほどしかなく、
背中を直立した鉄の鳥居さんにもたせかけるので、ゆったりした
落ち着きなど望むべくもない。
ハンドル軸もほぼ直角に近く、上体を腰から動かさないと前のほうのハンドルに手が届かない。
なるほど農民車の仕事は物を運ぶことだが、すこしは快適さも
加わっていないことにはどうしようもない。
なぜなら、人力で荷物を運ぶ苦労を省こうという目的があって
造られたのが農民車であるはずだからだ。
運ぶのが楽になっても、運転するのが苦しくてはしょうがない。
そういうことで、この個性豊かな農民車は屋根の下で雨を凌げないのだ。
車体の発想はfam4×2のNo.1と同じだと思われるので、
おなじ製作者によるものではないだろうか。
この農民車はどうもそれより野暮ったくて造作にも試行錯誤が感じられる。
fam4×2のものよりは以前に造られたものではないだろうか。



■306.



写真306.には、荷台に置かれた後部アオリ板が三枚みえる。
いちばん後ろには、その荷台にあがるための鉄棒のステップ、
ロープを掛けるためのフック、牽引用の連結器などが
のんきな配置で溶接されている。
おおらかといえば、おおらかな農民車である。

余談だが、背景にある青い車は当時の私の愛車キャロルである。
初めて買ったこの車がうれしくて、どこまでも農民車を撮りに走ったものだ。
田舎道では、交差点の真ん中で駐車し、キーも抜かずにドアを開けっ放しで車から降りても
何か言われることもないし、どうなることもない。
まったくおおらかな話だ。





このページを更新してすぐ、おなじみのおたけさんより
掲示板に書き込みがありました。
いつもながらその博識には頭が下がります。

懐かしい景色ですね(^^)。
これは南あわじ市(旧緑町)倭文安住寺にあった、谷○鉄工所が製作した農民車ですね。
ここの車体は運転席の下にエンジンを載せて、前方視界が抜群です。
反対に、欠点は排気ガスでエンジン周りが黒くなってしまう、
消耗品のエンジンとクラッチを繋ぐベルト交換が大変、
またジーゼルエンジンの場合は改造した始動ハンドルが必要になります。これは鉄工所が製作していました。
セルモーターが付いていれば問題ないのですが、付いていない型では、
昔の自動車がボンネットの前から始動ハンドルを手回ししていたような格好で
エンジンを始動します。
この型は、ほとんどがコラムシフト(ハンドルチェンジ)ですね。
山間部では、この全長が短くても荷台が普通の大きさで確保されている農民車が
もてはやされたみたいですね。
今はもう、谷○鉄工所も製作していないらしいです。


安住寺にあったという鉄工所ですが、現在は仕事そのものを
やめているらしく、電話帳にもそれらしき名前はありませんでした。
文中にある「改造した始動ハンドル」は、
もともとセルなしエンジンに付属した始動用のクランクハンドルの軸部を延長して
車体の一番前から回せるようにしたものです。
その際にクランク軸がぶれないように、前端に穴の開いた
支持架のようなものを取り付けた農民車も、fwm型には多く見られます。
fwm4×2 fwm4×2のNo.3
このページにある農民車には支持架が付いていませんが…。
延長クランクの写真もどこかにあったと思いますので、いずれ更新できると思います。
おたけさん、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。


おたけさんのメールアドレス

mailto:hfc02427@nifty.com



          ■304.fwm4×2/910720/緑町倭文